- 2010-03-05
- notes

HONDA FCXクラリティ
国際展示場で行われていたFC EXPOに行ってきまして、燃料電池自動車に関するブースでいろいろと見てきました。
以前、Twitterで松原氏と発電装置を持たない純EV(以後EV)やFCEV(HV)に関するやりとりをさせていただいたのですが、そのときにあったTweetであったのが次のようなTweetでした。
その上で、EVがメインストリームとなるという意見のようです。そして、FCが消滅する理由としては「インフラ」であるようでした。
私もその点については発展できるかの肝であると思いますが、2015年には販売レベルまで持っていくという大手自動車メーカー各社のリリース、エネルギー各社が本腰を入れ始めていること、そして今日実際に各社を巡って見たことによってスタート時期はずれ込むとしても、実現不可能ではないとの感触を得ました。
また、考えていたEVの欠点も考えていたこととおよそ間違っていない事を確認できました。
それは「電気自動車が持つ欠点と電気の運搬性の悪さ」「EVは既存技術の集合体」「インフラ事業」おおざっぱに言えばこの3点です。 また、私には日本がEVに本腰を入れすぎる事は日本の競争力を(相対的に)引き下げる可能性が高いのではないかという懸念があります。
| ※ | もっとも、自動車メーカーはEVは本命の1つに過ぎないとしているようですけれども |
そこで、もうすぐ発売となり、現状一番実用的な三菱のiMIEVを例に考えてみたいと思います。
- バッテリー容量:16kWh
- 走行距離:160km(フル充電時、ただしエアコン・ライト・電装品など未使用?)
- 充電時間:通常8時間、急速充電30分(8割まで)
- 価格:459万9000円(税込) 国の補助金139万円+地方自治体事の補助金有。神奈川の場合実質購入価格 約250万円
[1]電気自動車が持つ欠点と電気の運搬性の悪さの問題
EVの問題一つ目を握る鍵はエアコン、特にヒーターです。
エンジンのような熱源を持たないEVの場合、電気ヒーターを使う事になりますが、ヒーターは消費電力が意外と大きい。外気温にも依存しますがiMIEVの場合でも3割以上の走行距離減になるとも言われています。すると、Max160kmが110km前後まで引き下がる。
このあたりの問題をクリアするには「より大容量・高性能のバッテリー」を積む必要がありますが、バッテリー容量が増える事は(多くの場合において)単純に車重・コストに跳ね返るため、テスラのような解決方法も一つではありますが、バッテリーに関してはもう一段の技術革新が必要となりそうです。
FCの場合をトヨタの方に伺った所、熱利用はしていないとのことなので同様に電気を使うようですが、FCの場合、水素のほうが電池よりも同じ体積ならばより多くのエネルギーを蓄積できる(容積当たり確保できる電力が多い)とのことで、走行距離は十分確保できるそうです。
また、現在、EVのバッテリーの供給に関して今はバッテリー内蔵式(買い取り)が主流ですが、バッテリーが車両本体に匹敵する高価な部品である以上、ここの故障リスクはバカにならないのです。
| ※ | この点に関してはFCHVの場合でも同じ問題はあり、コストダウンはEV・FCに限らずガソリン車に対抗するための必須事項であると言えます。そのためにはガソリン車(化石燃料)に対して普及財源の課税をする等も有効ではないかと思います。 |
これは実際の運用コストの面で見た場合に問題があります。ガソリン車に比べて200万円近く(補助金込でも100万円)割高であるEVの場合、その差額はイニシャルコストとしてストレートに反映されます。
バッテリーを買い取る前提ではユニット価格と現状のエンジンの価格差が引き下がらない限り、結局ユーザーにとってガソリン代の先払いでしかないというのが現時点でのEVの現実です。
FCHVの場合、現在は自動車向けの水素価格というものの相場がないとのコメントをいただきましたが、おおよそでガソリン価格に近いところになるのではないか、と言っていました。FCのコストの問題は水素の供給価格というところにもありそうです。
| ※ | また、現在ガソリンに課せられている道路整備などに関する税負担が課せられていません。その点について現在EVはフリーライド状態であるわけですから、コストの優位性を語る場合には注意しないといけません。 |
しかも、先払いだけに「事故が起きる、バッテリーが壊れる等」で保証外交換となればその先払い分だけ不利であるといえます。
ですから、EVの(FCHVの二次)バッテリーは専用設計ではなく、コストを下げるためにもやはり規格化が必要で、それもメーカーなどの専用設計ではなくて汎用規格交換(簡易交換式・分解交換式)の形にならないといけないかと思いますし、EVに限っていえばリース/レンタルという形のほうが望ましいかと思います。。
この「交換式」にしないといけない理由は別にもあって、チャージの時間が長いことと電気はエネルギー運搬が難しい(悪い)ことにもあります。
200Vでの急速充電なら30分で8割といっても、バッテリーへの負荷がある。通常充電なら160kWhで7時間はかかる。航続距離を伸ばすために大容量にすればするほど時間がかかることになります。
FCの充填方法はいくつかあるようですが、基本的には70MPa(35MPa)に熱が上がらないようにぶち込むという方法で、-40度に冷やしたクールチャージなら3分程度、そうでもなければ10分弱で満タンまでいけるようです。
例えば、定期的にドッグに帰ってくるタクシーやバスなどの場合、急速充電はその性質上フル充電するのは難しい上、急速な充電はバッテリーへの負荷も大きい(≒車両(バッテリー)の寿命が短くなる)。 さらにクルマの回転率を上げ、航続距離(回数/累積)を伸ばそうとすれば、専用バッテリー/ソケット充電式ではダメだということです。
単発/累積の航続距離を伸ばし車両本体のリチャージタイムを減らして車両回転率を上げるのであればEVはカートリッジ交換タイプしかない。
| ※ | そこを解決したのがベタープレイス式のレンタルバッテリーですね。また、一般的な運用で言えば、スタンドで急速充電ですら30分近くも1台が充電器を占拠する事になるし、電気は持ち歩く事が容易ではないから、ガス欠対応も今のように「ガソリンを携行していれば5Lもあれば50kmは走れる」ようにはいかない。バッテリー車からチャージしなければいけないので、そこらへんはやっぱり不便なのです。 |
結局、メンテナンス性を上げる(信頼性全体を引き上げる)にしろ、バッテリの劣化交換を容易にするにしろ、コストを下げるにしろ、やはり規格化が必要でそれも専用設計ではなくて規格品交換(簡易交換式・分解交換式)の形が理想です。
そして、交換式バッテリ事業というのもバッテリが規格化されてしまえば立派なビジネスになりうるのです。後述のインフラでも関係してきますが、ここがEVだけじゃまずいよね という懸念の一つにも関係しています。
この問題をFCで考えた場合、仕様燃料(水素)の規格化という同様の問題はあるにせよ、輸送技術は存在しており貯蓄技術もある。電気に比べれば携行もしやすい。 チャージタイムも充電に比べたら格段に速く、バッテリと違ってタンクへの貯蔵ですから負荷も小さいわけでして、このへんの事情がEVに比べて遙かに優位性があると私は考えています。
結局、どちらがメカとして優位なのかという話で言えば、どちらが優位という事ではなく、当面の間は近距離コミューターはEV、自家用としてはHV/PHV、商用車などにFCHVが(当面の間は)最適だろうという話で、いずれEVとFCが領域を広げて棲み分ける という話をしていました。
それは上でも述べたように、積載空間(容積/重量)に対して、EVよりも水素のほうがより多くのエネルギーを積載できること(さらに多いのはやはり化石燃料)や、商用車のリチャージタイムの問題だそうです。
長くなりすぎたので、続き「EVは既存技術の集合体」次回(続くんだろうか(;´’д’))
- Newer: すし処なかみぞ
- Older: 豊かさとはなんだろう
Twitter comment
Comments:0
Trackbacks:1
- Trackback URL for this entry
- http://momoplus.net/notes/269/trackback
- Listed below are links to weblogs that reference
- 燃料電池自動車はそこにある未来というお話 from momo+
- pingback from 燃料電池自動車の実現性について 【経済】 « 水槽と家具 10-03-06 (土) 5:35
-
[...] コメントする マイミクのmomoさんが、FC EXPO(国際水素・燃料電池展)に参加された感想などをまとめたブログ記事「燃料電池自動車はそこにある未来というお話」が面白かった。で、ほんとーーに久しぶりに他の人のブログへコメント付けようと書き込んだら、何故か拒否されてしまったのでトラバっておきます(エラーメッセージはクッキーの問題みたい、Chromeのせい?)。 [...]